会社の備品を社員が壊してしまった
従業員が業務上のミスで会社の備品を破損してしまうこともよくあります。その従業員に代替品の購入費や、修理費等を請求することはできるのでしょうか。
民法上、故意や過失により損害を発生させた人は、損害賠償義務を負います。原則として会社が社員に対して損害賠償を請求することもできると言えます。
しかし、使用者は労働者を管理監督する責任があります。業務上起こったことであれば、使用者にも責任が認められるため、修理費等の全額を労働者に負担させることはできないと考えられます。
老朽化した機械が通常の使用により故障した場合などは、労働者に全く責任がないということもあるでしょう。また、過重な労働等が、ミスの原因として勘案されることもありえます。使用者の責任を全く認めず、労働者に過重な負担を強いることが争いの原因となることがありますので注意が必要です。
また、このような事件の顛末は、ほかの従業員にもすぐに知られるところとなります。多額の弁償をさせることで、会社の設備を使用することに萎縮してしまうことになれば、業務に悪影響が出ることも考えられます。
備品の破損などが起こった場合は、従業員から聞き取り調査を行い、原因等について双方が納得し、責任の範囲について合意を取り付けておくことが重要でしょう。